HIVに感染してエイズになったらどうなる?

性行為や注射器の使いまわしなどによってHIVに感染すると、その2週間目から4週間目のあたりぐらいに発熱や喉の痛み、だるさ、下痢、発疹などインフルエンザに似た症状が出てくる事があります。
これはHIVが急激に体内で増殖を始め、CD4陽性リンパ球が破壊されていくために出る症状です。
ただしこの初期症状は、HIVに感染した全ての人が出る訳ではなく、特に何の症状も出ないまま過ごしていく人もいます。

急性期が過ぎ去ると、次は何の症状も出ない無症候性キャリア期に入ります。
この期間は個人差があり、数年でエイズを発症する人もいれば、15年以上経っても症状が出ない人がいます。
この時期は自覚症状がないので、自分で意図的に検査を受けない限り、HIVに感染している事もわかりません。
ただ症状が出なくても、体内ではHIVが増殖し続けているので、CD4陽性リンパ球数は低下し、それに伴って免疫力も徐々に低下していきます。

ある程度まで免疫力が低下すると、やがて寝汗や長期に続く下痢、理由のない急激な体重減少などが起こり始めます。
この頃になると、健康な人なら発症しないような病気にかかりやすくなるのです。
これを日和見感染症といい、エイズが発症した事になります。
厚生労働省が定めるエイズ発症の基準となる23の合併症があるのですが、この中の一つでも当てはまる病気を発症すればエイズと診断されます。

エイズを発症すると、健康時には抑えられていた病原性の弱い微生物やウイルスが活動し始めて様々な感染症を引き起こす事になります。
具体的には、真菌症のカンジダ症やニューモシスチス肺炎、原虫症のトキソプラズマ脳症やイソスポラ症、細菌感染症の非定型抗酸菌症や化膿性細菌感染症、ウイルス感染症のサイトメガロウイルス感染症や単純ヘルペスウイルス感染症、そしてカポジ肉腫や原発性脳リンパ腫などの腫瘍、HIV消耗性症候群、HIV脳症などの病気が挙げられます。

エイズに感染した場合の対処手順について学ぼう

エイズを発症した場合、何の治療も受けなければ2年前後で死亡すると言われています。
現在は治療法も確立されているので、完治は出来ないものの症状を抑える事は可能です。
HIVに感染してから早い段階で治療を始めると、エイズ発症を防いで健康な人と同じ生活を送る事も出来ます。

もしHIVに感染しているとわかった場合、出来るだけ早く医療機関を受診しなければいけません。
医療機関では、その人の症状に合わせて治療法を決めていきます。
最新のガイドラインでは、全てのHIV感染者に対して抗HIV療法を行うように推奨されているのですが、この抗HIV療法とは、原則として3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて飲む治療法の事です。

抗HIV薬はHIVを体内から完全に排除できる薬ではありません。
よって抗HIV薬は、開始したら一生飲み続けていくことになります。
HIVの治療法には他に免疫調節療法がありますが、抗HIV療法にしても免疫調節療法にしても、とにかく高額な医療費がかかり、経済的に患者本人やその家族に大きな負担となってしまいます。

そのためHIVに感染した場合は、まず医療費を軽減させるために身体障害者手帳を申請するのが一般的です。
身体障害者手帳を持つ事で、医療費の助成や税金の控除、公共交通費割引などのサービスが受けられます。

また障害者自立支援医療は、治療に対して医療費の自己負担を軽減する制度です。
身体障害者手帳を所持している18歳以上の人が利用でき、18歳未満であれば、身体障害者手帳がなくても利用が可能です。
障害者自立支援医療の対象となるのは、抗HIV療法、免疫調節療法などのHIV感染に対する医療に限られますが、これを利用する事で経済的にも楽になり、治療に集中出来るようになります。